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UR九番団地の民間譲渡に関するNPOまなびや@KYUBANのコメント

2017年2月16日(木)付 中日新聞朝刊

「九番団地に関する説明会開催の御案内」

説明会で配布された「意向確認調査票」

 本日(2017年2月16日)付、中日新聞朝刊に「UR九番団地を譲渡」の記事が掲載されました。上記の件について知りうる限りの経緯と、当団体「NPOまなびや@KYUBAN」としての考え、今後の活動についてお伝えいたします。

九番団地住民への通知と説明会

 

 外国籍住民が約3割を占める、名古屋市最大の外国人集住地域であるUR九番団地。当団体は、リーマンショックが起こった2008年10月に、九番団地で「多文化共生のまちづくり活動」をスタートしました。私(代表:川口)自身は、2006年より九番団地内の東海小学校でボランティア活動をしていましたので、今年は活動11年目を迎えます。

 当団体が活動拠点としている九番団地の住民に、都市再生機構(以下UR)から「九番団地譲渡」の件が伝えられたのは、今年1月初めでした。その知らせは事前に何の前触れも相談もなく、突然に住民に伝えられ、多くの人々に衝撃を与えました。2月中にURによる説明会が開催されるとのことでしたが、日本人も、外国人も、多くの住民が動揺し、不安な1ヶ月を過ごしました。

​​​ 2月5日(日)。東海小学校でURによる説明会が開催され、住民の約4割が出席しました。九番団地は南米出身、とくにブラジル出身の入居者が多いため、ポルトガル語での説明もおこなわれました。憤りを抱える住民が参加するなかで穏やかに説明会が進行するわけがなく、怒号が飛び交うなかで、今後についての説明がなされました。説明会の要旨は以下の通りです。

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【今年2017年8月1日より「UR九番団地」は民間の不動産管理業社「中駒産業」に譲渡予定である。】

【建物譲渡に伴う諸条件は以下の通り】

(1)九番団地に継続して居住する

■賃貸借契約および敷金は譲受人に現状のまま引き継ぎ

■譲受人に引き渡し後3年間は、家賃、共益費、駐車場料金の増額なし

(2)他のUR賃貸住宅へ移転する

■一定の要件に該当する高齢者世帯等:

 URから空家住宅の斡旋あり/家賃減額制度あり/引越し費用(実費)はUR負担/移転先住宅の敷金は現在と同額

■それ以外の世帯:

 URから空家住宅の紹介あり/引越し費用のUR負担なし/

 移転先住宅の家賃減額なし

【意向確認調査の実施/提出期限2017年3月19日(月)】

■内容:

 譲渡後の住民の住まい方、移転の意向について

 現在の家族の状況について

 その他、意見等

 

【相談窓口の設置/2017年4月30日(日)までの予定】

■九番団地1号棟225号室

 9時30分~正午/13時~17時(水・土は休み)

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 以上が説明会の要旨です。URは、4月中に再度説明会を開催することとしています。

​​当団体の活動について

 当団体として最も懸念するのは、やはり、当団体の活動場所である集会所がどうなるのかということです。2月13日(月)、UR担当者に8月以降の集会所利用について問い合わせたところ、「現在、中駒産業側と協議中である」との返答でした。しかし、現在、転居を迷っている方の中には「まなびやをはじめ、集会所団体が存続するか否かで転居を決める」という方も多く、URには早急に回答を出していただくよう求めているところです。

 URよりどのような回答をいただけるかまだわかりませんが、当団体としては、「九番団地のコミュニティが存在する限り、そして、住民のみなさんが当団体の活動を必要としてくれる限り、九番団地を拠点に活動を継続する」との確固たる信念をもって、今までと同様に活動をおこなっていきます。状況によっては九番団地の一室に活動場所を移転するかもしれませんが、その際は、またあらためてお伝えさせていただきます。

 

 行政・NPO・地域住民が手を取り合いながら、10年以上の歳月をかけて「多文化共生の地域」を築いてきた九番団地。今では年間200人近い方が全国から視察に訪れる、「多文化共生のモデル地域」です。URに、この素晴らしく稀有な地域を、私たちの長年の取組みを、評価していただけなかったことはとても残念でなりません。それと同時に、九番団地の素晴らしさを十分に社会に伝えることのできなかった当団体の力不足を痛烈に感じ、悔しさと情けなさが胸にこみあげてきます。

 今年8月より九番団地が譲渡される中駒産業は、かつて当団体が九番団地内の商店街「モール9番街」で店舗を借りて活動していた時にお世話になっていた会社です。現在も多くの外国人が中駒産業と契約を結び、「モール9番街」で店舗をかまえています。

 渦中の九番団地ではありますが、民間業者の中駒産業に経営が移ることで、URではできなかったことができるようになる可能性もあります。地域活動がさらに活性化し、よりダイナミックに「多文化共生の地域」へと進化するかもしれません。

 みなさまには、8月以降の九番団地の動向を今まで以上にご注目いただき、当団体につきましても、引き続き、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

2017年2月16日

                                          NPOまなびや@KYUBAN

                    代表 川口祐有子

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